エスペラントは世界を照らす 日中友好に果たす役割も大 Page2/2

中国では国家資格に

胡金定教授 「学生時代以降は勉強していませんが、エスペラントを学んだことは、現在の仕事に非常に役立っています」と語る胡金定教授(写真左)は、学生だった25年前、中国の厦門(あもい)大学で1年間エスペラントを学んだ。専門は中国語学、中日比較文学、中日比較文化、日中異文化マネジメントで、来日して10年になる。

胡教授は初めに、中国のエスペラント事情について説明。
「中国は1962年に、エスペラントを国家資格として認められる外国語の一つに加えました。法律でそれを定めました。エスペラントを外国語として公認したのは、中国が最初だろうと思います。その背景には、ソ連との関係悪化があり、人気の落ちたロシア語の替わりに、特定の国が母語としていないという意味で、危険性の少ないエスペラントの採用を学者たちが勧めたようです。
文化大革命期の66年から76年の間は、外国語教育はほとんど行われませんでした。78年に改革開放路線に変わると、英語と日本語教育に力が注がれるようになり、82年にはエスペラントを公認した62年の法律を復活させました。
また、中国では大学の教授は3つ、助教授は2つの外国語ができなければなりません。こうした実利的な理由から、エスペラントを学ぶ人も多く、学習が盛んです。エスペラントを教えている大学・専門学校も10数校あります」

民間交流を大切に

人類愛善会・大本は、日中国交正常化(72年)以前の60年代初頭から、エスペラントによる中国との交流を進めてきた。東アジア、特に日中の友好促進について、故教授は次のように語った。
「現在、日中両国は国力の面で肩を並べている状態です。これは歴史的に両国が経験したことのない状態で、お互いにどうしてよいか悩み、難しい状況に陥っています。
そこで大事なのが政府間ではできない民間交流です。民間レベルでお互いの文化を学び合うことが、非常に大切です。実際には、普通の中国の人々は、日本人が大好きです。民間交流から始めれば、日中の将来には明るい可能性があります。そして、民間交流の中で使う言語は日本語、中国語だけでなく、エスペラントの果たす役割が大きいと思います」
今回の関西大会には、人類愛善会総本部から11人が参加したほか、近畿圏の会員が多数参加。エスペラント運動の意義をあらためて学んだ。

人類愛善新聞・2006年8月号

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